遺言で共同相続人間の担保責任の定め

  1. 書き方例

     相続財産xx債権について、長男xxxへ相続させる。他の相続人は、相続財産xx債権の担保責任は負わない。
    ・・・・・ 

  2. 解説

    まず、遺言で特に何も定めていない場合について整理します。
    ① 各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。(民法911)
     この定めにより、共同相続人は相続分の割合で、共同相続人の相互間に担保責任(売り主の補償責任と同種の責任が)が発生します。
    ② 各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する(民法912 1)
     この定めにより、債権を相続した人が、債務者(相続人以外)から価値通りの回収をできなかった場合、
     額面価値-回収可能額(分割の時における債務者の資力)=「価値目減りリスク分」
    「価値目減りリスク分」は、相続分に応じて担保しなければなりません。
     ■弁済期に至らない債権及び停止条件付きの債権の場合
     額面価値-回収可能額(弁済をすべき時の債務者の資力)=「価値目減りリスク分」 
    ③担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者及び他の資力のある者が、 それぞれその相続分に応じて分担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。(民法913)
    この定めは、②の不足分発生時において、不足を埋めてほしいことを他の共同相続人へ依頼した場合(求償)において、それを払えない人が居た場合、 払えない額(求償分の負担額ー支払った額)は払える人で分担します。 
    被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。(民法914)
    この定めの例が書き方例となります。