組織の設計やライフサイクルなど | 組織・人材管理

組織に関する問題について、組織の設計やライフサイクルなどの改善策を模索する場合に必要な一部理論が、考察の切り口になると考えています。


組織の4原則

組織の編成や管理をするときの基本原則として代表的なものが4つあります。

専門化の原則
仕事の種類で分類する。 
各構成員が同類の仕事をすることで、該当分野の専門性の習熟度が増し、安定的で能率的な業務成果が生まれます。
権限・責任の原則
権限の大きさと仕事で負うべき責任の大きさを一致させる。
権限が大きすぎれば、権限の乱用や無責任状態が生じ、責任が大きすぎればモラールが低下します。
統制範囲の原則
一人のリーダーが監督するメンバーの人数は限界がある。
メンバーの人数が多すぎると管理効率が低下します。最適な人数は、リーダーの能力や組織状態によって異なります。
命令一元化の原則
常に一人のリーダーが指示命令を行うという原則です。 
この原則が守られることで、指示命令系統が一本化され、組織の秩序が維持され統一行動ができるようになります。

主な組織形態

組織の4原則を踏まえた、具体的な組織形態が幾つか存在します。代表的な組織形態をまとめています。

ライン組織
命令一元化の原則が適用されている組織です。
経営トップから末端までが単一の命令系統で結ばれている。
【お勧めの組織状態】
メンバーの進んでいる方向がバラバラで困っている。能力が属人的である。経営判断が組織内に浸透しない。
【避けるべき組織状態】
組織単位が大きく、リーダーの負担が既に大きい。情報伝達に問題が生じている組織。
ファンクショナル組織
専門化の原則が適用されている組織です。
メンバーは、専門分野に関する業務指示を複数のリーダーから受けます。 【お勧めの組織状態】
リーダーの専門性が組織単位と一致しない組織。
【避けるべき組織状態】
指揮命令系統が錯綜し、責任の所在が不明確で問題が生じている組織。
ラインアンドスタッフ組織
命令一元化と専門化の原則が適用されている組織です。
ライン組織に、専門スタッフ部門を加えた組織です。
【お勧めの組織状態】
 ライン組織とファンクショナル組織参照。
【避けるべき組織状態】
 間接経費が多い組織。
その他組織形態
事業部制組織、マトリクス組織、プロジェクトマネジャー制組織、プロジェクトチーム、ネットワーク組織、フラット型組織

問題とその解決策例

組織に関するよくある問題とその解決策の事例をまとめています。

似たような部門が存在している。編成基準が曖昧。
編成基準を一つにして、統合含め部門を整理する。
新事業の戦略に沿った部門がない。
プロジェクトチームの編成や、新規部門を設置。
階層が深く組織的な意思決定が遅い。
組織のフラット化。
階層が深く組織的な意思決定が遅い。
組織のフラット化。
部門ごとの協調体制がとりにくい。
顧客志向組織、プロジェクト組織へ。
自由闊達な雰囲気でない。
ネットワーク型組織、プロジェクトチームへ。
後継者が育成できない。
事業部制、社内ベンチャー制など。

成立と存続

会社において組織が成立するには、3つの要素が必要であるとバーナードが提唱しています。

共通目的
経営理念、経営目標などが社員間に浸透している必要があります。社員が方向性を理解していることが重要です。
貢献意欲
会社に貢献しようとする意欲です。社員のモチベーションやモラールが必要です。
コミュニケーション
経営者や社員間のコミュニケーションが重要です。情報共有などの組織的メリットを生みだすことが重要です。

設立後、組織が存続するためには、常に目標を達成することが重要です。また、組織のメンバー協働意欲をかきたてるための誘引が必要です。


組織文化の弊害

組織文化の弊害の弊害として、集団疑集性と集団浅慮(グループシンク)があります。

集団疑集性
組織内のルールに従うように強制する同調圧力的な要素のことで、強すぎるとマイナス面が生じます。
集団浅慮(グループシンク)
結論や結果を急ぐあまり、物事の判断が短絡的になるマイナス面が生じます。

組織のライフサイクル

組織の編成や管理をするときに、現組織のライフサイクルについて意識することが重要です。

スタートアップ期
数名の状態で、経営トップの強力なリーダーシップで運営されており、 組織やルールが必要とされず、 属人的な能力に依存している状態です。   
成長期
数十名程度の共同体的状態から、100名前後の組織が公式化されて行く状態です。
成熟期
数100名から数千人以上に拡大し、組織運営はルール化され官僚化が進む状態です。
衰退期
官僚制の逆機能など負の側面が強くなり、組織の活性化がなくなるなど避けるべき状態です。

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