不動産関連の契約時に法的に注意することのQ&A

[質問]不動産売買で消費税の納税義務は発生しますか?

[回答]売主が課税事業者の場合、消費税の納税義務が発生しますが、但し土地の場合は非課税取引とされています。(消費税法五、六条、別表第一)

[質問]手付金の趣旨は3種類(解約手付、違約手付、証約手付)ありますが、趣旨を明確にしない場合どうなりますか?

[回答]「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。」 (民法 五百五十七条)の規定が適用され、解約手付の趣旨を有します。

[質問]売主の瑕疵担保責任を排除することは可能ですか?

[回答]売主の瑕疵担保責任は、民法 五百六十一条、商法 五百二十六条に規定がありますが、任意規定ですので排除することは可能です。

[質問]建物賃貸借契約において期間を定める場合注意することはありますか?

[回答]民法上、賃貸借契約の期間を定めた場合でも最長20年という制限があります(民法第六百四条)。 ただ、建物賃貸借契約においては借地借家法で上限20年の制限を排除しています(借地借家法第二十九条 )ので、契約期間30年でも問題ありません。 次に1か月や3か月といった短い期間についてですが、民法上は問題ありませんが借地借家法上1年に満たない期間を設定すると、期間の定めのない 建物賃貸借契約とみなされます(借地借家法第二十九条 )ので、注意が必要です。

[質問]建物賃貸借契約の契約更新時に注意することはありますか?

「建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、 当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、 従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。 」(借地借家法第二十六条 )となっていますので、 自動的に契約が更新された場合に、この条項が示す法定更新とみなされない契約上の工夫が必要です。 具体的には契約書に合意更新事由を明確化することで、自動更新でも期間を定めた合意更新とすることができます。

[質問]建物賃貸借契約の更新料金について注意することはありますか?

賃貸人が事業者で、賃借人が消費者に該当し、建物賃借契約が消費者契約法に定める消費者契約に該当する場合、契約期間と比べて更新料が高額過ぎると 更新料規定が無効と判断される可能性があります。

[質問]建物賃貸借契約おいて、契約後に賃料見直しをすることはできまますか?

借地借家法三十二条の「借賃増減請求権」は任意規定ですので、契約書にあらかじめ明示しておけば契約後に賃料の見直しはできます。

[質問]建物賃貸借契約おいて、賃貸人が課税事業者の場合消費税を納める必要がありますか?

契約で賃借人の居住の用に供することが明らかな場合、一時的に使用させる場合を除いて非課税とされています(消費税法六条、別表第一)。

[質問]建物賃貸借契約おいて、賃貸人から解約申入れする方法はありますか?

契約書に、6か月前の予告及び正当事由の具備の要件(借地借家法第二十七、二十八条 )として解約申入れ条項を記述しておくことが必要です。

[質問]家賃滞納時の遅延損害金は、何%まで可能でしょうか?

契約書に定めない場合でも、民法 四百四条(年5%)、商法 五百十四条(年6%)に従い、遅延損害金を請求できます。 それ以上の割合を定めることも可能ですが、 賃貸人と賃借人の関係で、消費者契約法に定める消費者契約に該当する場合、年14.6%が上限となります。