共有名義の不動産を一人で管理、認知症リスク削減方法は?

共有名義の不動産、民事信託で補う 受託者が認知症になると?

概要
共有名義の不動産は持分所有者が不明になったり、一部の持分所有者が認知症などを発症すると困ることがあります。 その不動産の持分を信託財産とする民事信託を設定しておくと、 受託者単独で管理、売却の法的な手続きが可能となります。では、受託者(管理者)が認知症になった場合は大丈夫なのでしょうか?

受託者の任務終了
信託法56条に法定終了要件が定められています。2項で、受託者である個人が後見開始又は保佐開始の審判を受けた時にも終了することが明記されています。

認知症で任務終了?
受託者が認知症になったら自動的に任務終了するわけでなく、「後見開始又は保佐開始の審判」が始まることが必要です。

認知症で終了するには?
信託行為時に、受託者が一定の健康状態になった場合に任務終了になる旨を定めておく必要があるあります。例えば、「介護保険サービスを利用し始めたら」とかです。

任務終了すると?
信託行為でどのように設定するか難しいところです。2次受託者を指定していなければ、その時点から1年以内に新たな受託者を選任しなければ信託が法定終了します。 そのため、信託行為時に2次受託者を設定しておくことが望ましいです。

信託終了した方が良い?
持分所有者を受託者としているので、速やかに信託を終了させ、該当持分(受託者を務めていた所有者の持分)を、意思表示が行える間に誰かに信託する必要があります。