民事信託で不動産証券化を検討 受益証券 編

不動産管理処分信託の活用における考察 受益証券 民事信託

概要
不動産管理処分信託は、近年の不動産証券化の流行の中で、頻繁に使われるようになっています。 一般的な事例では、一又は二以上の受益権を表示する証券いわゆる「受益証券」を発行する信託 を設定します。その場合の受益者の差についてまとめています。

前提等
  1. 不動産管理処分信託対象の不動産に関する債務が無い。もしくは、債務者の承諾がとれている。
  2. 事業用不動産の管理を行う受託業務自体は事業として行わない、1つの方法として自己信託で委託者自身が管理する方法がある。

基本的考え方
「受益証券」を発行する信託を設定すると、変更はできません。(信託法185条)。また、税法上法人課税信託の扱いとなります。

イメージ
「受益証券」を使うと、株式のような制度設計を行うことができます。例えば、受益権原簿≒株主名簿

意思決定
受益者が複数の場合の意思決定の方法について、「受益証券」未発行の信託は、すべての受益者の一致によってこれを決するが基本である。 「受益証券」発行信託の場合は、受益者集会における多数決が基本である。

対抗要件
信受益証券発行信託の受益権の譲渡は、その受益権を取得した者の氏名又は名称及び住所を受益権原簿に記載し、又は記録しなければ、 受益証券発行信託の受託者に対抗することができない(信託法195条)。 受益証券の占有者は、当該受益証券に係る受益権を適法に有するものと推定する(信託法196条)。