民事信託で不動産証券化を検討 信託受益権 編

不動産管理処分信託の活用における考察 信託受益権 民事信託

概要
不動産管理処分信託は、近年の不動産証券化の流行の中で、頻繁に使われるようになっています。 すなわち、投資対象の不動産を信託財産とする信託設定を行い、信託受益権を譲り受けたSPC(特別目的会社)等が、 信託受益権を裏付財産として証券を発行するスキームが商事信託の分野で多く用いられています。この信託受益権について、 民事信託でも活用する場合の考察をまとめています。

前提条件
  1. 事業用不動産に関する債務者の承諾がとれている。
  2. 事業用不動産の管理を行う受託業務自体を事業として扱うには、信託業法に準拠した事業者が行う必要がある(商事信託)。

信託受益権とは
信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権(以下「受益債権」という。) 及びこれを確保するためにこの法律の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいう。(信託法2条)

信託受益権の対抗要件は?
受益権の譲渡は、譲渡人が受託者に通知をし、又は受託者が承諾をしなければ、受託者その他の第三者に対抗することができない。 前項の通知及び承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、受託者以外の第三者に対抗することができない。 (信託法94条)

信託受益権を買う側
受託者から確定日付のある証書を受け取るまで、契約成立後も不安定な状態となる。信託受益権売買契約書で、信託受益権の買主はこのリスクを担保する必要がある。

その他
信託法上、受益権を表示する証券(信託法185条)について明文規定があります。こちらを活用する案もあります。