OSSを活用し、電子帳簿保存法関係のスキャナ保存 へ対応? | DX・IT

2024年01月12日 DX・IT 行政書士

説明

ここの内容は、税務署へ確認したものではなく、個人的に考えたアイディアをまとめただけなのでご留意ください。

目的

 OSS(オープンソースソフトウェア)やその他無料で使用できる社会資源を使い、電子帳簿保存法関係のスキャナ保存へ対応する。

 

スキャナ保存の要件

  • (1) 入力期間の制限
     事務規定と運用の問題、テーマ外であるため割愛。
  • (2) 一定の解像度による読み取り
     スキャナ装置の問題、テーマ外であるため割愛。
  • (3) カラー画像による読み取り
     スキャナ装置の問題、テーマ外であるため割愛。
  • (4) タイムスタンプの付与
     論点1 ※1で説明
  • (5) ヴァージョン管理
     論点2 ※2で説明
  • (6) 帳簿との相互関連性の確保
     運用の問題、論点が少ないため割愛。
  • (7) 見読可能装置等の備付け
     当たり前の話のため割愛。
  • (8) 速やかに出力すること 
     論点2と一体的な話。※2で説明
  • (9) システム概要書等の備付け
     事務規定と運用の問題、テーマ外であるため割愛。
  • (10) 検索機能の確保
     論点2と一体的な話。※2で説明

   

※1論点1 

タイムスタンプの要件

 総務大臣が認定する時刻認証業務に係るタイムスタンプであること。

 この有料タイムスタンプを使えば問題無いが、前提を満たさないので他の方法を模索した。


 【令和6年1月1日以後の取扱いに関するもの】 電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】 より


 問 30 訂正削除履歴の残る(あるいは訂正削除できない)システムに保存すれば、タイムスタンプの付与要件に代えることができるでしょうか。


【回答】
そのシステムに入力期間内に入力したことを確認できる時刻証明機能を備えていれば、タイムスタンプの付与要件に代えることができます。以降略・・

【解説】
国税関係書類についてスキャナ保存する場合には、その国税関係書類に係る記録事項にタイムスタンプを付与することが要件として規定されており(規2⑥二ロ)、当該保存義務者が訂正削除履歴の残る(論点※2)又は訂正削除できないシステムに保存する方法により規則第2条第6項第1号の入力期限内に当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合には、その確認をもって当該タイムスタンプの付与要件に代えることができることとされています。
この訂正削除履歴の残る(あるいは訂正削除ができない)システムでタイムスタンプ付与の代替要件を満たすためには、タイムスタンプが果たす機能である、ある時点以降変更を行っていないことの証明が必要となり、保存義務者が合理的な方法でこの期間制限内に入力したことを証明する必要があると考えられます。
その方法として、取扱通達4-26 では例えば、SaaS型のクラウドサービスが稼働するサーバ(自社システムによる時刻の改ざん可能性を排除したシステム)がNTPサーバ(ネットワーク上で現在時刻を配信するためのサーバ)と同期しており、かつ、スキャナデータが保存された時刻の記録及びその時刻が変更されていないことを確認できるなど、客観的にそのデータ保存の正確性を担保することができる場合が明示されています。


 

 以上の電子帳簿保存法一問一答より、「論点1」に関することを抜き出すと、

ア)総務大臣が認定する時刻認証業務に係るタイムスタンプを使わない場合、

イ)期間制限内にスキャナ保存し、その時点以降変更を行っていないことを証明する必要ある。

イー1)変更を行っていないことを証明の一つとして、署名技術である。この応用としてタイムスタンプ技術がある。
 これより、無料の他社タイムスタンプサーバーを利用し、スキャナ保存したファイルへタイムスタンプを付与すれば、変更を行っていないことは証明される。

イー2)但し、総務大臣が認定する時刻認証業務に係るタイムスタンプでないため期間制限内であったかの証明はできない。
 そこで、「自社システムによる時刻の改ざん可能性を排除したシステム」として、他社タイムスタンプサーバーを利用してタイムスタンプを行えば、こちらを満たすことできる。

イー3)更に、NTP同期した自社管理のシステム上で、無料タイムスタンプを付与したスキャナ保存文書のファイルタイムスタンプと、ほぼ同時刻であり、そのファイルを論点2で示すシステムで管理することで、より無料タイムスタンプの時刻を詐称していないことを証明できる。
 ここで言う、時刻詐称とは未来時刻でなく証跡用途の文書の目的から考えて、過去の時刻へ詐称することのみ考えればよい。(=>未来時刻へ詐称しても意味が無い)
 これより、自社のシステムと他社管理のシステムを、過去の時刻へ設定することはほぼ不可能に近い。縁もゆかりもない他社であることが重要である。


 以上より、保存義務者が合理的な方法でこの期間制限内に入力したことを証明できる。  

★adobeを使ったタイムスタンプ付与の方法

adbe settting

※2 論点2 

 訂正削除履歴を残す方法について。

 ソース管理などで使っている、gitやsvnを活用する。
 ツールの説明はここでは行わないがポイントは、

ア)自社管理のシステム上で、無料タイムスタンプを付与したスキャナ保存文書のファイルタイムスタンプの履歴を残す。

イ)初期登録文書のファイルタイムスタンプとその管理開始日時と変更履歴を管理すること。

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この論点1と論点2の方法により、更に合理的な方法でこの期間制限内に入力したことを証明できると思っている。

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結論

利用するOSSは、バージョン管理システムのgitやSVN。

無料ソフトの、adobe acrobat reader。

他社の無料タイムサーバー。

いかがでしょう? 懸念点などありましたらご連絡頂けると幸いです。