モーダルシフトについて | 環境経営
説明
モーダルシフトとは、トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換することを言います。トラックで直接目的地まで運ぶのではなく、転換拠点で輸送手段を鉄道や船舶に切り替えて輸送を行います。
現在では、環境負荷の低減は多くの企業で社会的責任(CSR:Corporate Social Reponsibility)と位置付けて、商品の生産から廃棄に至るすべての場面で取り組まれていますが、その中で輸送(物流)における環境負荷の低減にはモーダルシフトや輸配送の共同化、輸送網の集約等の物流効率化が有効です。その中でも、特にモーダルシフトは環境負荷の低減効果が大きい取り組みです。
国によるモーダルシフトへの支援
―物流総合効率化法による支援―
「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)」とは、輸送効率の向上や環境負荷の低減を目的とした施策に取り組む事業者を支援する法律です。物流業者は国土交通省に認定申請を行うことで、「モーダルシフト等推進事業費補助金」として、モーダルシフトの取り組みに対する計画策定経費や運航経費などが補助されます。
なぜモーダルシフトが必要か
1トンの貨物を1㎞運ぶ(=1トンキロ)時に排出されるCO2の量を見ると、トラック(営業用貨物車)が216gであるのに対し、鉄道は21g(約1/10)、船舶は43g(約1/5)しかありません(2020年度試算)つまり、貨物輸送の方法を転換することで、鉄道利用では90%、船舶利用なら80%もCO2排出量を削減できるのです。こうしたことから、地球温暖化対策としてモーダルシフトは大変有効です。
モーダルシフトを導入する利点
昨今の労働力不足の解消・働き方改革という観点からも注目されています。モーダルシフトを行わない場合、倉庫間や集配拠点までの輸送など、幹線輸送となす部分について数百kmの距離を運転するため、出発した拠点に戻ってくるまで数日かかってしまう場合も少なくありません。しかし、モーダルシフトを行えば、最寄りの転換拠点となる箇所まで、もしくは最寄りの転換拠点からの運転だけで済むため、効率的な業務を行うことができます。
最小限の労働力で大量の荷物を運ぶことができるため、トラックドライバー不足の解消にも役立ちます。
こうした社会情勢も反映し、これまでモーダルシフトはおおむね500km以上の長距離輸送でないと難しいと考えられていましたが、最近では300km~400kmといった比較的短い距離でのモーダルシフトの例も増えてきています。
結論
物流総合効率化法の認定を受けることにより、以下の支援制度(メリット)を利用することができます。
・営業倉庫に対する法人税や固定資産税・都市計画税の減免制度
・市街化調整区域に物流施設を建設する場合の開発許可に関する配慮
・モーダルシフト等の取り組みに対する計画策定経費や運行経費等の補助 等
一度ご検討されてみては如何でしょうか?