人工光合成 | 環境経営

2022年07月27日 環境経営 行政書士

説明

日本がリードする「人工光合成」技術

プラスチックなどの身近な製品の原料を製造する化学産業において、CO2を活用しようとする技術です。光触媒を活用した人工光合成は日本がリードする技術で、産学連携で技術開発に取り組んでいます。植物が、太陽エネルギーを利用してCO2と水から有機物(でんぷん)と酸素を生み出す「光合成」。この光合成を模して、太陽エネルギーとCO2で化学品を合成しようとしているのが「人工光合成」技術で、第4の太陽エネルギー活用法ともいわれています。

日本初の脱炭素化に向けた技術として世界に先駆けて実用化を果たし、世界の脱炭素化にも役立つことが期待されています。

 

CO2を化学品に変える脱炭素化技術「人工光合成」

日本が掲げる「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」という長期的目標を実現するためには、様々な領域でCO2を削減することが重要です。その方法の一つとして、日本は、「カーボンリサイクル」や「CCUS」といった、CO2を使用することで削減する革新的技術の研究を進めています。「人工光合成」は、化学産業において、CO2を活用しようとする技術です。

 

現在有力なのは「オレフィン」を人工的に合成する技術

プラスチックの原料などになる「オレフィン」を人工光合成で作るには、太陽光に反応して水を酸素と水素に分解する「光触媒」と呼ばれる物質と、そこから水素だけを取り出す「分離膜」、水素にCO2を合わせて化学合成を促す「合成触媒」の技術が必要となります。

 

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出典 資源エネルギー庁 

 

「光触媒」の世界初の画期的な研究成果(変換効率7.0%達成、量子収率100%実現)、「分離膜」の開発と「合成触媒」について

「光触媒」における「太陽エネルギー変換効率」は、開発当初0.2~0.3%(植物の光合成と同じくらい)から、2017年度には、3.7%に上昇し、2019年度には5.5%を達成。2021年度の最終目標の10%まであと少しとなっています。2020年には、世界で初めてとなる100%に近い「量子収率」の粉末状光触媒が開発されました。(2021年3月経済産業省HP)

この技術は産官学連携で研究が進んでおり、すでに技術は確立され、現在は実用化に向けて変換効率を高める研究が進んでいます

「分離膜」に開発については、水素の透過性に優れた分離膜の開発に成功しています。水素と酸素が混合して状態が不安定になっている、“爆発性”のある気体から、安全に水素を分離する技術を確立することができています。

「合成触媒」については、CO2と水素からオレフィンを作る化学反応において、その収率が50%以上を達成しています。また、実験とシミュレーションを行い、最適な小型パイロット装置の仕様も決定されています。

 

結論

二酸化炭素の資源化を本格的に進めるには、炭素循環モデルを構築することが求められます。