代理で電子署名する行為について | 電子署名
説明
代理で電子署名することについて
まず、代理について、民法の規定
第九十九条「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。」
即ち、
①本人の代わりにすることを相手に伝える。
=>例えば、私〇〇さんの代理人なのでと相手に伝える。
②与えられた権限(法定代理と任意代理では権限は違う)。
=>例えば、申請手続き一式を任されたのでと委任状を相手に見せる。
このように、委任された代理人の場合、相手に委任された範囲を示すことが必要。
電子署名のすること意味は?
電子署名及び認証業務に関する法律
第三条 「電磁的記録であって情報を表すために作成されたものは、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」
その電磁的記録(電子文書)へ、電子署名すると、その電磁的記録(電子文書)は作成名義人の意思に基づいて作成されたことが推定されます。
そもそも電子署名の法的な要件は?
電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置
当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること
=>具体的な技術まで限定してませんが、これを満たすのが今流通している公開鍵暗号方式による電子署名
どんな文書でも同じような法的理屈があるのか?
民事訴訟法
(文書の成立)
第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
(文書に準ずる物件への準用)
第二百三十一条 この節の規定は、図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する。
ということで、文字文書以外も本人の電子署名を付加すれば電磁的記録の証拠能力が上がります。
(本人の意識などにより、偽造されているか否かの議論は残りますが・・・)
結論
代理人が本人の代わりに電子署名のみすることを示して、電子署名するならば、真正に電磁的記録(電子文書)を成立したと推定させることができます。
参考までに、経済産業省のQ&Aにも同様の見解を示しています。
Q:サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による電子署名を行う電子契約サービスは、電子署名法上、どのように位置付けられるのか。
A:電子署名法第2条第1項第1号の「当該措置を行った者」に該当するためには、必ずしも物理的に当該措置を自ら行うことが必要となるわけではなく、例えば、物理的にはAが当該措置を行った場合であっても、Bの意思のみに基づき、Aの意思が介在することなく当該措置が行われたものと認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はBであると評価することができるものと考えられる。